ヒト染色体領域のクローニングを飛躍的に改善する技術を開発~マウス人工染色体を用いたヒトゲノム研究・創薬研究を加速(宇野・冨塚グループ論文掲載、プレスリリース)
香月康宏教授らのグループとの共同研究成果である『ヒト染色体領域のクローニングを飛躍的に改善する技術』に関する論文が、オックスフォード大学出版局によって発行される国際科学誌「Nucleic Acids Research」に掲載され、本学からもプレスリリース(下記リンク)がありました。
https://www.toyaku.ac.jp/lifescience/newstopics/2023/0112_6072.html
ヒト染色体領域のクローニングを飛躍的に改善する技術を開発 ~マウス人工染色体を用いたヒトゲノム研究・創薬研究を加速~
ポイント
・マウス人工染色体(MAC)に数百万塩基対(メガベースMb)規模のヒト染色体領域を搭載することで、マウス・ラット個体などへヒト染色体領域を安定して導入することが可能です。
・ヒト染色体領域をMACへと搭載する従来の方法は数年間に及ぶ時間と多大な労力が必要で、困難性が高いことが課題でした。
・本研究では、ヒトiPS細胞から染色体を直接的に別の細胞へと移入する新技術と、CRISPR/Cas9を応用した染色体転座誘導技術によって、ヒト染色体領域をMACへ搭載する工程を大幅に短縮することに成功しました。
・本技術を用いて、Mb規模のヒト遺伝子群を保持する動物の作製プロセスが飛躍的に加速し、ヒト染色体機能の理解や創薬研究の加速化に貢献すると期待されます。
・また遺伝子多型を持つ個人や疾患患者由来のヒトiPS細胞の染色体を利用した、新たなヒト化モデル動物や希少疾患モデル動物の作製にも応用可能です。
雑誌名:Nucleic Acids Research
論文名:“Rapid human genomic DNA cloning into mouse artificial chromosome via
direct chromosome transfer from human iPSC and CRISPR/Cas9-mediated translocation”
(ヒトiPS細胞を供与体とする染色体導入とCRISPR/Cas9による転座誘導を利用した、マウス人工染色体への迅速なヒト染色体クローニング)
Hitomaru Miyamoto,Hiroaki Kobayashi,Nanami Kishima,Kyotaro Yamazaki,Shusei
Hamamichi,Narumi Uno,Satoshi Abe,Yosuke Hiramuki,Kanako Kazuki,Kazuma Tomizuka,Yasuhiro
Kazuki
https://doi.org/10.1093/nar/gkad1218