系統樹 Phylogenetic tree

生物は共通の祖先が分かれて、二つ以上の生物に分化することを繰り返して進化してきた。従って、現存する生物(および絶滅した生物)のどの種とどの種が近縁かということをたどると、生物が進化してきた過程を推定することができる。このように生物が進化してきた様子を表したものが系統樹である。

古くはダーウィンの時代から生物学的知見に基づいて系統樹が作成されてきた。たとえば形態学や発生学では生物の形態や発生過程の類似性に基づいて系統樹が作成された。また、化石の研究から系統樹が作成された。

最近になって、生物の遺伝子を比較することから系統樹を作成する事ができるようになった。生物の遺伝子の配列を比較することから作成する系統樹は特に分子系統樹とも呼ばれる。系統樹を作成する方法には大きく分けて最大節約法と距離行列法がある。距離行列法のなかでは最尤法と近隣接合法が最も頻繁に利用されている。

分子系統樹は本質的には遺伝子の系統樹であるので、特に生物進化初期の議論をするときには生物種の系統を反映しない可能性に関する注意が必要である。この点では翻訳系とりわけリボソームRNA遺伝子は生物種の系統を反映していると考えられている。他方、動物や植物など最近の進化の研究のためには、ミトコンドリア遺伝子や遺伝子外配列など配列の変化速度の速い配列が利用される。

さらに詳しい内容を知りたい方は以下の日本語の総説、本を参考にしてください: 全生物の共通の祖先の実験的検証 ー過去のタンパク質を再現するー遺伝子分析による脂質合成系の進化の解析シリーズ進化学 第3巻 化学進化・細胞進化分子の進化:遺伝子レベルでみる生物の進化

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