生物は真核生物と原核生物に分けられる。真核生物は動物、植物、カビや原生動物などであり、原核生物には大腸菌や枯草菌、乳酸菌などの真正細菌と古細菌が含まれる。原核生物が1マイクロメートル(1mmの千分の一)程度の小型の細胞で細胞内に膜系を持たないのに対して、真核生物は10〜100マイクロメートルの大型の細胞で細胞小器官(ミトコンドリア、葉緑体)や膜系(小胞体、ゴルジ体等)を持っている。好気性細菌が真核生物の細胞内に共生してミトコンドアとなり、シアノバクテリアの場合は葉緑体となった。これは「真核細胞の細胞共生説」とよばれ、マーグリスが本にまとめてから広く支持されている。また、ミトコンドリアが共生することになった細胞は古細菌の祖先であることもまず間違いがない。しかし、どのような古細菌がどのような過程で細胞内共生に至ったかという点に関して多くの説があり、まだよく分かっていない。同様に、膜系や細胞骨格、ステロイド合成系など真核生物特有の成分の起源もよく分かっていない。
さらに詳しい内容を知りたい方は以下の日本語の総説、本を参考にしてください:
第12章 真核生物(真核細胞)の誕生、横堀伸一、山岸明彦、山岸明彦編集 「アストロバイオロジー」、化学同人、156-168 (2013)、
細胞の起源、
シリーズ進化学 第3巻 化学進化・細胞進化、
裸の古細菌サーモプラズマ、
生物の科学