アストロバイオロジーを日本語に直訳すると宇宙生物学、あるいは宇宙生命科学になる。地球以外の天体ではまだ生物はみつかっていないので、宇宙の生物を研究した研究者はまだいない。アストロバイオロジーというのはNASA(アメリカ合衆国航空宇宙局)の造語である。
NASAはアストロバイオロジーとは「宇宙における生命の起源、進化、伝播、および未来」を研究する学問であるとしている。つまり、宇宙と生命が関係していれば、ほとんどなんでもアストロバイオロジーと言って良いことになる。
地球も宇宙の一員であることを考えれば、地球と生命が関係していることもアストロバイオロジーに含まれる事になる。とはいっても実際には、「宇宙と生命」を意識して研究している研究者が自分は「アストロバイオロジーの研究者」であると言う認識を持っているようである。例えば、
アストロバイオロジーの研究には、天文学、宇宙生物学、惑星科学、生化学、地球物理学、微生物生態学、地質学、分子進化学、地球化学、比較生理学など、様々な広範な分野の研究者が集まってきている。
アストロバイオロジーの重要な研究対象には、太陽系外での惑星探査、宇宙での生命生存可能範囲(ハビタブルゾーン)、宇宙での有機物探査、惑星形成や地球の歴史、生命の起源、生命の進化、生命の惑星間移動、生命の未来、太陽系内外での生命探査、
宇宙の起源と未来等が含まれる。また、多くのアストロバイオロジー研究者の最終的疑問は、宇宙で我々は一人ぼっちか、地球生命以外に生命は存在しないのか、地球人類以外に知的生命体は存在しないのかという疑問である。
もっと詳しく知りたい人は以下の文献を参考にして下さい。
・アストロバイオロジー 宇宙に生命の起源を求めて、山岸明彦編、化学同人、2013年
入門から、かなり詳しい各論まで、これ一冊でカバー(ちょっと高いが価値有り)
・アストロバイオロジーとは何か、滝澤美奈子、サイエンス・アイ新書、2012年
科学ライターの目から見たアストロバイオロジー、わかり易い。
・アストロバイオロジー ? 宇宙が語る〈生命の起源〉?、小林憲正、岩波書店、2008年
分野全体をわかり易くカバー、個々の記載は簡単で入門に適当。