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高校の同窓会会報原稿

  2002.9.27  by 高須

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付属高校のこと

友達と話していて、高校の話題が出た時に、
「私が行った京都の高校では、好きな科目がとれた。
授業の取り方によっては、午前だけとか、午後から行くとかできた」と言うと、
「えっ、大学みたい」とよく言われました。

私は高校2年の時にAFSという制度でアメリカに1年留学したため、
付属高校卒業が1年遅れました。
アメリカでは付属高校よりもさらに自由度が高く、
「この時間は、体育と物理のどちらにしよう?」という選択も可能でした。
日本に戻ってちょっと窮屈でしたが、それでも日本の大部分の高校と比べると、
自由な雰囲気だったと思います。

埼玉や栃木では公立高校でも男女別学だったと聞いたり、
最近では富山の中学は男女で給食の量が違うとか聞き、びっくりしました。
京都ではありえないようなことが、日本の他の場所で行
われているのを知りました。京都の付属に行けてよかったと思いました。

付属高校の自由な雰囲気は、
先生方や先輩の皆様が努力されたおかげだと伺ったことがあります。
「高校設立当初の生徒は元気だった。最近の生徒はおとなしい」
などと言われてました。

何人かの先生は自由な雰囲気の授業をされてました。
家庭科の授業が思い出深いです。
当時、男子は同じ時間に体育の授業でした。
今から考えると女子だけ家庭科というのはおかしいのですが、
体育が苦手だった私にとっては、好きな本を(こっそり)読める楽しい時間でした。

ある時、大塚先生の授業で
「好きなテーマで調べてレポートを書き、皆の前で発表せよ。
家庭科と関係あれば、どんなテーマでもよい」という課題が出ました。
この時は真面目に取り組みました。

私は、「他の人は料理か被服のネタを選ぶだろう」と予想しました。
「家庭科の教科書に育児という項目があるから、
子供に関係あれば何でもいいだろう」と考えて、
「児童文学の歴史」というテーマを選びました。
自分なりにおもしろいレポートが書けました。
大塚先生からも「ユニークだ」とほめていただき、嬉しかったです。
まず他の人が何を考えるか予想し、自分が好きなことか得意なことで、
要求されている範囲ぎりぎりの境界領域で選べばよいということが、
この授業でわかりました。

その後、大学1年の秋に、「ロンドン1週間取材旅行の学生特派員4名募集」
という新聞記事を見かけました。
応募しようと思ったときに、高校の家庭科を思い出しました。

この手の企画に応募するのは文系、特に英文科や英語学科の学生が多いと 予想しました。 応募の作文の「取材したいテーマ」は、「文化」「言語」「日常生活」を
避けることにして、「イギリスの科学技術を取材したい」と書きました。

この作戦が成功して、2000人の応募の中から当選した4名に入ることができました。
イギリス往復の渡航費と1週間のホテル代が出ました。
貧乏な下宿生活の大学1年生としては、とても嬉しかったです。

その後就職してからも、研究費の申請などにこの時の教訓が役立っていると感じます。
自由な授業をして下さった大塚先生、ありがとうございます。

なお、私が家庭科の課題で学んだことは、
マーケティングの世界では「3C」と呼ばれていることを最近知りました。
Customer(顧客。レポートの場合は先生)を考え、
Competitor(競争相手)が何をするか考え、
Company(自社、自分)の得意なことをする、という切り口です。

 さて、自由な雰囲気の高校だったためか、
研究者の道を進む人が多いようです。
学会や研究会に行く度に、高校や中学の同窓生に会うことができます。
ある時は、科研費(大学研究者がもらう研究費の1つ)の
特定領域の20名ほどの班で、偶然3名も同じ高校出身でびっくりしました。

琉球大学で物理学会があった時、前日に首里城に登っていると、
高校の同窓生が3名もぱったり同じ場所に居合わせました。
「まず高い所に登って全体を見よう」という癖があるのかもしれません。
私と同じ分野の同窓生何人かの研究テーマを見ると、
「型にはまらない、自由な発想」という特徴があるように感じました。

私も42歳となり、後半の人生で何をしたいか、考えている所です。
仕事のこと、研究のこと、人生をどう楽しむか、
先輩の皆様の例を参考にしながら、考えていきたいと思ってます。
今後もよろしくお願いいたします。

最後になりましたが、本号から名簿にメールアドレスが
記載できるようになったそうで、嬉しいです。
幹事の皆様のご尽力にお礼申し上げます。


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