神経・筋シナプス形成機構

ショウジョウバエ胚・幼虫の神経・筋シナプスはシナプスレベルで解析できる単純な系です。

幼虫のからだは半体節に30本の筋肉細胞が
整然と配列した構造です。
30本の筋肉細胞を約40個の神経細胞が支配しています。

精神疾患のテストに使われるプレパルスインヒビションテストを確立しました。この実験系により、ショウジョウバエを用いた精神疾患のテストが可能になります。薬理学的試験も行っています。

Prepulse inhibition in Drosophila melanogaster larvae.
Matsumoto Y, Shimizu K, Arahata K, Suzuki M, Shimizu A, Takei K, Yamauchi J, Hakeda-Suzuki S, Suzuki T, Morimoto T.

2018 Sep 27;7(9). pii: bio034710. doi: 10.1242/bio.034710.

私たちはシナプス後細胞のCaMKIIがシナプス形成に重要な働きを持つことを突き止めました。
シナプスの発達段階に応じてCaMKIIによる異なるシナプス形成調節機構が存在することがわかりました。

現在、CaMKIIの作用機構の解明とその生理学的意義について解析を行っています。

私たちはシナプスの機能を電気生理学的手法を用いて解析することにより、シナプスの機能の変化を正確に捉えることに成功しています。
幼虫の行動を個体レベルで解析することと、シナプスの機能を電気生理学的手法を用いて解析することを組み合わせることにより、シナプスの機能の変化と個体の機能の変化の関連を解析することが可能になります。
このような手法を組み合わせて、
精神疾患に関連した蛋白質の機能を階層横断的に調べることを行っています。
ハンチントン病(舞踏病)の原因蛋白質を幼虫の感覚神経細胞に発現させ、病態の進行について観察しました!

ショウジョウバエを用いて精神疾患・認知機構を考える!

 シナプスから、神経活動、行動、すべての階層を横断
して研究することで可能にします!!
我々は、ショウジョウバエCenG1Aの機能解析を行っています。
 CenG1AはPHドメイン、ArfGAPドメインなど、興味深いドメインを持つ機能タンパク質です。
精神疾患との関わりも報告される興味深いタンパク質です(Wassink, et al., 2005; Gross et. al, 2015)。
我々は、CenG1Aがシナプス機能に関与することを初めて明らかにしました!

Homma M, Nagashima S, Fukuda T, Yanagi S, Miyakawa H, Suzuki E, Morimoto T. Downregulation of Centaurin gamma1A increases synaptic transmission at Drosophila larval neuromuscular junctions. Eur J Neurosci. 40:3158-3170 (2014).