ヒト 21 番染色体部分モノソミーiPS 細胞の作製に成功 ~ヒト染色体欠失症やダウン症の機序解明や治療標的発見への応用を期待~(宇野・冨塚グループ論文掲載、プレスリリース)

鳥取大学 香月康宏教授、東京都医学総合研究所 鈴木輝彦主席研究員、および東京科学大学 相澤康則准教授の各グループとの共同研究成果である『ヒト 21 番染色体部分モノソミーiPS 細胞の作製』に関する論文が、日本分子生物学会の学会誌「Genes to Cells」に掲載され、本学からもプレスリリース(下記リンク)がありました。

https://www.toyaku.ac.jp/lifescience/newstopics/2024/0115_6590.html

ヒト 21 番染色体部分モノソミーiPS 細胞の作製に成功 ~ヒト染色体欠失症やダウン症の機序解明や治療標的発見への応用を期待~

・CRISPR/Cas9を介したメガベーススケールの染色体欠失により、選択培養なしに1ステップで部分モノソミーヒトiPS細胞パネルを作製する、簡便かつ効率的な方法を開発しました。
・本技術を用いて、ヒト21番染色体長腕(21q)上の全タンパク質コード遺伝子(211個)を含む21qの大部分(約3360万塩基対)の欠失に成功し、世界で初めて21qモノソミーヒトiPS細胞を樹立しました。
・21qモノソミーヒトiPS細胞のトランスクリプトームおよびプロテオーム解析の結果、モノソミー領域内の遺伝子によってコードされるmRNAおよびタンパク質の発現量は、概ね2倍体における発現レベルの半分であることが明らかとなり、遺伝子の転写および翻訳レベルでの用量補償が起こっていないことが示されました。
・本技術は、これまで困難とされてきた染色体欠失モデル細胞の構築を容易にすることで、染色体欠失症やダウン症などにおける多様な症状の原因遺伝子の解明や治療標的の同定に貢献すると期待されます。

 

雑誌名:Genes to Cells
論文名:Generation of Monosomy 21q Human iPS Cells by CRISPR/Cas9-Mediated Interstitial Megabase Deletion
(CRISPR/Cas9を介したメガベース欠失によるモノソミー21qヒトiPS細胞の作製)
DOI:10.1111/gtc.13184

2025年01月15日