第3回生命科学セミナー
日時: 6月21日(水)17時〜
場所: 研究3号棟12階 セミナー室 G

 

演題1
笠井 拓哉
生命エネルギー工学研究室 博士課程3年(学部生の頃の笠井さんの声はこちらから)
「Shewanella属細菌におけるCRP依存的異化代謝制御機構の解明」
 Shewanella oneidensis MR-1株は金属酸化物や電極などの細胞外に存在する電子受容体を用いて呼吸を行う能力を持つ通性嫌気性細菌であり、微生物燃料電池(MFC)における電流生成細菌のモデル菌株として広く研究されている1。MR-1株の電流生成には細胞外膜に局在する導電性タンパク質(Mtrタンパク質)が重要な働きを担うことが知られているが、本株が電流生成に関与する異化代謝系をどのように制御しているのかは十分に解明されていない。一方、これまでに我々は、cyclic AMP receptor protein (CRP) がMR-1株の異化代謝系の制御において中心的な役割を果たすことを明らかにしてきた2,3。CRPはMtr遺伝子および電子源となる乳酸の酸化酵素遺伝子の転写活性化因子として働き、これらの異化代謝系遺伝子の発現を協調的に制御する。本発表ではMR-1株において新たに見出されたCRPの生理機能について、上記の成果を中心に報告する。
参考文献    
1. A. Kouzuma et al., 2015, Front. Microbiol., 6:609
2. T. Kasai et al., 2015, BMC Microbiol., 15:68
3. T. Kasai et al., 2017, Front. Microbiol., 8:869

 

演題2
若菜 裕一
分子細胞生物学研究室 助教
「タンパク質分泌制御における小胞体-ゴルジ体膜接触の役割」

 細胞質全体に広がる小胞体は、様々なオルガネラとの間に膜接触部位と呼ばれる構造を形成している。膜接触部位は脂質輸送や代謝、Ca2+輸送に働き、オルガネラダイナミクスの制御にも深く関わっている。小胞体-ゴルジ体接触部位では、小胞体膜タンパク質であるVAPがCERTやOSBPとの結合を介してセラミドやコレステロールをゴルジ体へと輸送する。しかし、小胞体-ゴルジ体膜接触がゴルジ体機能に果たす役割はこれまでほとんどわかっていない。私たちは以前、セミインタクト細胞を用いてトランスゴルジ網(TGN)における輸送小胞形成を再構築し、構成性分泌を仲介する新規輸送小胞(CARTS:carriers of the TGN to the cell surface)を単離・同定した。本セミナーでは、CARTS形成における小胞体-ゴルジ体膜接触の役割について報告するとともに、現在私たちが進めている膜接触部位の新規構成因子探索の試みについて紹介する。