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Ⅰ. ペプチドサイエンスを駆使した血管病治療戦略の再構築

血管作動性ペプチド(アンジオテンシンII、エンドテリン、インスリン様成長因子I、特にウロテンシンII、サリューシンβ、ヘレグリンβ1、インクレチン等)の新規血管作動性物質の動脈硬化、高血圧、虚血性心疾患、血管性痴呆等の病態における役割。上記の血管作動性物質と動脈硬化惹起性脂質(酸化LDL、small dense LDL、リゾリン脂質、過酸化脂質、リポタンパク質(a)等)または活性酸素種の一つである過酸化水素との相互(相乗)作用により、ヒト単球由来マクロファージの泡沫化(コレステロールエステル蓄積)に重要なコレステロールエステル化酵素であるacyl-coenzyme A: cholesterol acyltransferase-1 (ACAT-1) およびスカベンジャー受容体の発現、血管平滑筋細胞増殖が促進されるかどうかを検討している。これらの遺伝子発現に関する細胞内情報伝達経路を解明し、種々の血管作動性物質の特異的受容体に対する選択的拮抗剤を用い、降圧作用のみならずマクロファージや血管平滑筋細胞に直接作用して動脈硬化を予防できるかを検討している。また上記の血管作動性ペプチドの動脈硬化性疾患の病勢を反映するバイオマーカーとしての可能性も合わせて検討している。

Ⅱ. TGF-βシグナルによる血管・リンパ管新生制御機構の解明

TGF-βは細胞増殖・分化だけでなく血管新生を制御するサイトカインである。これまでに報告されたTGF-βシグナル関連分子のノックアウトマウスが、血管新生不全で体制致死となることからも示唆されている。その特徴は、①血管内皮細胞だけでなく血管平滑筋細胞にも作用して血管を成熟化、②新生血管では血管新生を亢進、する点である。TGF-βシグナル分子の異常は、先天性難治性血管疾患の原因であることも報告されている。それゆえTGF-βを標的とすれば、血管の質を重視した血管新生制御が可能になるだけでなく、新生血管だけを狙った副作用の軽減された治療薬、及び難治性疾患治療薬の開発に結び付くと期待される そこで私たちは、TGF-βによる血管・リンパ管新生の分子機構の解明を目標として、TGF-βシグナル系の遺伝子改変マウスを用いて、生体での解明を目指している。
(1)胎仔期における血管新生・成熟過程及びリンパ管新生に関与する遺伝子群及びmicroRNA(miRNA)群の網羅的同定とその機能解析
(2)成熟個体が形成する腫瘍血管・リンパ管新生とTGF-βシグナルの役割解明
(3)TGF-βシグナル破綻に起因する難治性血管疾患のモデルマウスの作製と治療法の確立
(4)血管内皮前駆細胞の腫瘍血管新生への動員メカニズムの解明と診断治療法への応用

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