卒業生メッセージ
活躍する分子生命科学科の卒業生からのメッセージ
本学科の研究室を卒業し、社会で活躍されている卒業生の方々の声を紹介します。
- 食品・化粧品関連
- 化学・製造業関連
- 製薬・医療関連
- 環境・分析関連
- 研究設備関連
- 電気・ガス業
- サービス業
- 高等教育機関 (大学等)
- 中等教育機関 (中学校・高校等)
- 公務員・法人職員
- システム開発・保守
その他の卒業生メッセージはこちら
食品・化粧品関連
- 1様々な選択肢に触れ、自分の将来と
向き合えた東薬での6年間 - 六甲バター株式会社 雨笠 航介 さん
- 2東薬で学んだことが化粧品開発に活きた
- 株式会社コーセー研究所 顧 一凡 さん
- 3大学・大学院での経験が今に生きています!
- ちふれ化粧品 市川 門紀夫 さん
- 4美味しくてやめられない、とまらない
お菓子でみんなを笑顔に - カルビー株式会社 佐久間 英輔 さん
- 5『明日をもっとおいしくする研究』
- 株式会社明治 齋藤 聡美 さん
化学・製造業関連
- 1MBA留学、IT企業勤務、企業経営で
生きる生命科学部での経験 - 有限会社 小沢製作所 小沢 達史 さん
- 2可能な限りの手を尽くし医療現場の
想いを実現化する - 富士フィルムメディカル株式会社
峯積 博之 さん - 3東薬で見出せた自分の姿
- セントラル硝子株式会社
萩原 祐樹 さん - 4技術で飢餓のない世界を創る
- クミアイ工業株式会社 田中 龍 さん
- 5メーカーの情報部門で働いています
- YKK株式会社 佐藤 基 さん
- 6エバリュエーターとして香りを
設計・評価 - 花王株式会社 田熊 円香 さん
製薬・医療関連
- 1東薬は目標を実現できる場所
- サイトサポート・インスティテュート
株式会社 岡田 香穂里 さん - 2生命科学部で学んだことを生かして、
高品質なワクチンの安定供給を目指す - 北里第一三共ワクチン株式会社
本間 悠 さん - 3東薬とは、今の自分の土台
- テバ製薬株式会社 中川 詠梨 さん
- 4創り、造り、売る
- 塩野義製薬株式会社 前田 佳主馬 さん
- 5自分が立案した創薬研究で苦しんでいる
患者さんの役に立ちたい - 旭化成ファーマ株式会社 山添 健 さん
- 6将来の夢に向かって歩んだ6年間
- 株式会社エシック 片山 絵梨 さん
- 7生命科学が生きるリハビリ職の今
- 医療法人社団 真療会 野田病院
西村 陽一 さん - 8東薬での研究経験をベースに新薬の
候補となる化合物を合成 - あすか製薬株式会社 竹中 陽介 さん
環境・分析関連
- 1研究室で培った知識や経験を活かして
仕事をしています - 一般財団法人 日本食品分析センター
茂刈 寛史 さん - 2ラボラトリーオートメーションで
活かされる学生時代の経験 - ジーエルサイエンス株式会社
下谷 真仁 さん - 3会社勤務の傍ら、客員研究員として
東薬で研究をしています - 株式会社住化分析センター
根田 礼子 さん
研究設備関連
- 1最適な空間で、夢中に
- オリエンタル技研工業株式会社
田嶋 美仁 さん
電気・ガス業
- 1東薬で培われた問題解決力が仕事に
役立っています - 東京ガス株式会社 林 宏樹 さん
サービス業
- 1社会で必要な力を得られる研究室だと
感じています - 株式会社ジェイティービー
杉山 菜摘 さん
高等教育機関(大学等)
- 1生物好きが高じて研究者の道へ
- 独立行政法人理化学研究所
村山 正宜さん
中等教育機関(中学校・高校等)
- 1人の成長を見届ける楽しさ
- 高等学校教員 前田 泰明 さん
- 2何事にもチャレンジ
- 山梨県教育委員会わかば支援学校
堀口 めぐみ さん
公務員・法人職員
- 1大学での経験が力となっています
- 三鷹市役所 鹿児島 茉由 さん
- 2国立病院機構に就職して
- 独立行政法人 国立病院機構
岡嶋 大樹 さん
システム開発・保守
- 1大学での学びと会社での実践
- 丸紅ITソリューションズ株式会社
瀨戸口 美桜 さん

様々な選択肢に触れ、自分の将来と向き合えた東薬での6年間
2013年 生命科学研究科博士前期課程修了 修士 (基礎生命科学、現分子生物化学研究室)
六甲バター株式会社 生産管理部 製造技術チーム
高校生の頃は部活動に明け暮れており、勉強は苦手でした。とりわけ私は数学が苦手であったため、高校での進路選択の際に担任の教師に文系を勧められました。しかし、幼い頃から自然や動物が好きであったために大学では生物に関することを勉強したいと思い、理系を選択しました。そして、生命科学の多様な分野を学ぶことができる東京薬科大学生命科学部に魅力を感じ、進学を決めました。
入学当初は環境問題に興味を持ち、地球環境が生物に与える影響について勉強したいと思っておりました。しかし大学2年時に生理活性物質学の講義を受け、眼には見えないような小さな物質が私たちの身体の様々な機能を制御しているということに強く興味を引かれました。そこで4年時の研究室配属では、生体に何らかの作用を及ぼす生物活性物質の探索とその作用機構の研究を行っている分子生物化学研究室を選択しました。1年間の卒業研究を通じて研究の面白さや奥深さを知り、さらに専門的な知識や技術を学びたいと思い大学院に進学しました。大学院では、線虫という体長1mmほどの小さな生物を用いてカカオに含まれるポリフェノールの生物活性を調べる研究を行いました。この研究を通して、「自分の研究が人々の健康に貢献できる」ということに感動を覚えました。そして身近な存在である食品を通じて人々の健康を支えたいと思い、現在の会社に就職しました。


私は現在、生産管理部・製造技術チームという部署に所属しています。製造技術チームの主な業務内容は、原料の受け入れ業務や工場の生産ラインの管理、また製品に使用される包装材の設定など多岐にわたります。私は入社してから、既存製品のリニューアルに関わる仕事などに携わりました。製造技術チームではいくつかのテーマを担当することになるので、スケジュールの管理がとても重要になります。また生産ラインで問題が生じた際に、その原因を追求し問題を解決するためには論理的に考える力が必要とされます。このような場面で、東京薬科大学で培われた経験は非常に役立っていると感じます。
卒業してから感じる東京薬科大学の魅力は、様々な専門分野をもつ先生方がおり、幅広い領域の講義を学べる点であると思います。初めから一つの領域に絞ることなく多くの可能性や選択肢が存在する東京薬科大学だからこそ、最終的に自分が本当にやりたいことを探し出すことができたと感じています。自然豊かなキャンパスで素晴らしい先生方の講義を受けながら、受験生の皆さんにもゆっくりと自分の将来の夢や希望を見つけて欲しいと思います。

東薬で学んだことが化粧品開発に活きた
2006年 生命科学部環境生命科学科卒業 (環境衛生化学、現生命分析化学研究室)
(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
株式会社コーセー研究所 開発研究室 素材製剤グループ 勤務
現在は化粧品に含まれる有効成分の皮膚への浸透性を明らかにし、その知見を生かしてより高い効果が発揮できる化粧品の開発に取り組んでいます。
通常は商品を開発する部署とその効果を検証する業務が異なる部署によって担当されていますが、今所属している部署は商品を開発し世に送り出すだけではなく、そのコンセプト付けや有効性のエビデンスを自らの手で行うことができるので、やりがいを感じていると共に研究者としてだけではなく女性の目を持って常にお客様を意識した商品作りを心がけています。
化粧品は皮膚や細胞にまつわる生物の知識と製剤を作るにあたって化学の知識の双方を要する分野ですので大学で学んだ知識は役に立っています。また、現在の業務を遂行するにあたって有効成分の量を定量・定性しているのですが、大学在学時に研究室で身につけた分析の考え方や実験手法は自分の基礎になっています。


◆在学生へのメッセージ
研究には専門性を深めることも大事ですが、①主体性を持つこと②伝える力③コミュニケーション能力を磨くことが大変重要になります。せっかく大きな意味を持った難しい研究をしても人に伝わらなければまったく価値がありません。常に端的にわかりやすく話すことを心がけ、多くの人とディスカッションをすることで研究へのアドバイスやヒントを得ることができます。
ぜひ在学中からこれらのポイントを意識して有意義に学生生活を過ごしてください。

大学・大学院での経験が今に生きています!
2012年 大学院生命科学研究科 博士前期(修士)課程修了(分子細胞生物学研究室)
ちふれ化粧品 研究員
私はちふれ化粧品という会社の、研究部の評価・分析課で働いています。私の働いている課では、化粧品に含まれる防腐剤の効力の調査、HPLCを用いた化粧品の成分の定量試験、細胞を使った試験などを行っています。こういった試験を行い、改良していくことで、お客様により品質の高い化粧品を届けられるよう努力しています。
私は大学院では分子細胞生物学研究室に所属していました。私はこの研究室でBap31と呼ばれるたんぱく質の細胞内での挙動や機能について調べる研究をしていました。その研究で、細胞の扱い方や、菌の扱い方、遺伝子操作の技術を学びました。就職活動では大学院での経験を生かしたいという思い、自分の関係した商品が店頭に並んでいたら面白いかもしれない、そんな思いから、メーカーの研究職を目指していました。
化粧品の研究職はよく幅広い知識が必要であるといわれますが、東京薬科大学では生物、物理、化学に関する様々な実習を経験することができます。そのためこういった経験や、大学院で習得した技術が先輩社員の方々と話すときや、実際に試験を教えていただく際に非常に役に立っています。
私は大学に入ったときは何になりたいからこの大学にしたという、明確な目標はありませんでした。東京薬科大学での経験や、研究室や部活動の友達や先輩、後輩、先生と話すことで、自分の将来の目標が決まっていったような気がします。東京薬科大学生命科学部は理系の大学でありながら、様々な選択肢のある大学です。生命科学に興味はあるけれど明確な目標を持っていないという方は、東京薬科大学で自分の目標を探してみてはいかがでしょうか。

美味しくてやめられない、とまらないお菓子でみんなを笑顔に
2005年 大学院生命科学研究科 博士前期(修士)課程修了(生命分析化学研究室)
カルビー株式会社 マーケティング本部 スナック事業部 勤務

私は2005年に生命科学研究科修士課程を修了して、カルビー株式会社に入社しました。入社後は製造、生産管理、商品開発を経て、現在はみなさんご存知のブランドの商品企画をしています。業務を一言でいうと「担当している商品(ブランド)を少しでも多くの方に食べてもらうようにすること」です。少子高齢化、核家族化、晩婚化など子育て世代が中心ユーザーのスナック菓子業界は色々な荒波にさらされていますが、「美味しくて思わず笑顔になってしまう商品を作りたい」という思いでお菓子を食べながら楽しく日々仕事をしています。
東京薬科大学を卒業していて何故、商品企画?と思われる方もいるとおもいますが、実は現在カルビーで商品企画をしている人の約半数は理系大学出身者です。なぜ、そうなっているか?答えは人事の方に聞かないとわかりませんが、理系大学で身につけた論理的思考、知識の応用力が様々な分野で求められているからだと思います。


東京薬科大学では特にこれらの能力を身に着けるのに充実した環境が整っていると思います。1年生から始まる充実したカリキュラムの実習では考えながら学び結論を出すという論理的思考トレーニングができます。そして、研究室に所属してからは生命科学部ならではの様々な分野で学んだ知識の応用をしていきます。自然環境も豊かなキャンパスで友人と楽しみながら学べる環境は本当に素晴らしいです。

東京薬科大学は、研究の分野だけではなく様々なところで活用できる人材を育成してくれる場所です。これから就職をされる方、是非、大学で学んだことに自信をもって社会に飛び込んでみてください。きっと色々な分野で活躍できると思います!

『明日をもっとおいしくする研究』
2010年 大学院生命科学研究科 博士前期(修士)課程修了(分子生物化学研究室)
株式会社明治 食機能科学研究所 機能性評価研究二部 機能研究1G 勤務

機能性評価研究二部では、機能性素材の評価や製造法の開発を行っています。私は、まだ市場に出ていない新規機能性素材について動物試験による機能性探索を行っています。新規素材には未知の可能性があるため、美容、運動、免疫などターゲットとする生理機能は多岐にわたり、幅広い知識や技術が必要となりますが、とてもやりがいのある仕事です。

学生時代の研究と大きく違うところは、データの先にお客様がいるということです。単にポジティブなデータが出せれば解決、というわけではありません。例えば、とても魅力的な効果がある素材でも、お客様にとって、高い、おいしくない、と感じるものでは、私たちの使命は果たせないのです。
そこで、製造の担当者や開発の担当者とも連携をとって実験を組み、お客様に届けるということを常に考えながら研究に取り組みます。得られたデータからは、その素材が商品となってお客様に届き、かつ、その商品がお客様の生活をよりおいしく(味という意味だけでなく)出来る可能性があるのかを、しっかり見極めなくてはなりません。使命感とやりがいを感じながら仕事に取り組んでいます。
私が所属していた基礎生命科学研究室では、一人一人の自主性を重んじて下さり、自分のやりたいと思うように研究をさせていただくことが出来ました。先生方と学生の距離がとても近く、何事も相談でき、信頼関係のもとで研究を進めることが出来ました。また、生命科学部には様々な分野の先生がいらっしゃいますが、研究室を問わず手を差し伸べてくれる雰囲気があり、これも東薬の大きな魅力の一つだと思います。

MBA留学、IT企業勤務、企業経営で生きる生命科学部での経験
2008年 生命科学部分子生命科学科 卒 (言語科学研究室)
有限会社小澤製作所 勤務

私は本学を卒業後、すぐにアメリカの経営大学院に留学しました。二年半で卒業(MBA取得)し、IT企業にて大企業向けの人事評価システム開発の職を経て、現在は家業の金属加工会社を継いでいます。在学中は決して優秀な学生ではありませんでしたが、1年生の春休みに一人でカリフォルニアのスタンフォードやUCバークレーを訪問したことをきっかけに、卒業後に留学をするという目標ができ、授業を真剣に受けるようになりました。本学の大きな特徴である「研究」を支える徹底した実験、実習をこなす中で、仮定→実験→考察と段階を踏んで論理を構築していくこと、そしてその中で論理を文章・図表・グラフに表し、他人へ説明すること、この二点の力がつきました。

留学直後に経済学概論を履修した時は、英語力のなさにとても苦労しました。経済学の基本的なことは独学で十分勉強していましたが、リーマンショック時、新聞を読んで何が起こっているのか予習をしないと全く授業についていけない状態になりました。それに加え、経済学や資本主義の歴史に特化した教科書、そして何種類かの週刊の経済雑誌を読むことを求められ、一週間で把握しなければいけない内容がとてつもない量になりました。そのため毎日10時間ほど図書館や自習室にこもって読み物をこなしていきました。さらにクラスでのディスカッションや、グループで問題解決方法を討議するグループワークなどMBAらしい授業も最初は必死でした。発言をしないものはそこにいる価値がないと見做されます(そうクラスメートに面と向かって言われたこともあります)。うまく言えなくても、内容がとにかく論理的であればいいと開き直り発言するようになりました。これも何度も繰り返していくと、うまい切り返しができるようになりました。
MBA取得後、IT企業に就職したのですが、そこでは、生命科学部で培った問題解決能力が発揮できました。入社直後の「何も教えない」新人研修が有名な会社なのですが、そこでの研修は、課題が与えられ期日までにその成果物を用意しなければいけないものでした。そこで私は、何度か中間成果物を提出する中でその採点基準に仮説を立てていきました。返ってきた一行のコメントを考察し、その仮説が正しかったのかを検証しました。まさに学部生時代の実習と同じ流れでした。これを何度か繰り返すことで、正確な採点基準を割り出し、最終課題で好成績を収めました。講師にも、何にも伝えてないにもかかわらずなぜ合格ラインがこんなに正確にわかったのかわからない、と驚かれました。
その後の配属先での開発業務でも、主に相手先や上司、先輩とのコミュニケーションを通じて、相手の期待値を推し量り、最小の時間で期待値を超えるような成果物を残すことができました。学生時代の試験とは違い、仕事は絶対の正解があるものではありません。ただ相手が求めているものを実証的な手順で明らかにすることができれば相手は評価してくれるものです。また開発を行う中で、上司陣にレビューを行ってもらうことが多々ありました。忙しい週では一週間に5本の別々の案件のプレゼンを求められました。この際には、実習とMBAプログラムでの経験を通じて身につけた資料作成スキルを使い乗り切りました。
現在は、祖父が起業した金属加工会社にて生産・品質・工程管理を中心に、図面を引いたり、設計をしたりしています。この仕事においても論理的思考は重要です。特に、現場で作業している職人肌の社員は「今までやってきたやり方が正しい」とある意味先入観をもっていることがあります。取引先からは常にコストを落としていくことが求められるため、それに応えるためには方法をより良く変えることは必須です。そこでも仮説をたて実際に加工を観察し、時には自分で実際に加工し、その内容を定量的・定性的に考察した上で社員に伝えれば、納得してもらえます。
現在は、金属を加工し製品にする現場の仕事を楽しく感じています。自分でデザインをしたものを加工し、人に喜んでもらえた時に、ものづくりの真髄を味わっています。これからは、ソフトとハードを共に扱い、まだこの世の中にないものを作るようなものづくりができたらと考えています。
学部生の実習では、周知の事実を追試験します。これは新発見でもなんでもなく退屈なことだと感じるものですが、そのベースにある仮説、実験、考察、説明の能力は学術的な証明だけではなく、企業の問題解決、そしてもちろん未知の事柄を論理的に証明することに役立ちます。単に試験管の振り方やシャーレへ綺麗に大腸菌を撒くことを学んでいると考えるのではなく、万物への考え方を学んでいるという気概をもって実習に取り組んでください。間違いなく役に立つ力がつきます。(2015年10月記)

可能な限りの手を尽くし医療現場の想いを実現化する
2014年 生命科学研究科博士前期課程修了 修士 (分子神経科学研究室)
富士フィルムメディカル株式会社 営業職

私は2014年に生命科学研究科修士課程を修了し、富士フイルムメディカル株式会社に営業職として入社しました。私たち営業の仕事は、医療の現場で尽力されている医師や医療従事者の方々の問題や悩みを共有し、その解決策を提案していく事です。
当社では、デジタルX線画像診断システム「FCR」、経鼻内視鏡、超音波診断装置、医用画像診断システム「SYNAPSE」という幅広い医療機器やITシステムを展開しています。多くの製品ラインナップがあり、様々な医療施設に合わせた最適な提案ができることが、当社の営業のやりがいでもあり、強みでもあります。

現在、私は杉並区にある全ての診療所を担当して営業活動をしています。営業という仕事を始めて実感することですが、製品を売ることは大変難しく、また泥臭い仕事でもあると感じています。まだ営業として間も無い私ですが、仕事をする中で現在大切にしている事が2つあります。1つ目は、製品を売ることより、お客様の為に当社の製品でどう問題解決ができるかを第一に考える事です。その為には、機器の仕様書を調べて理解しやすい提案資料を作成したり、上司や先輩にアイデアを借りる為に報告•連絡•相談をしっかりする事が大切です。2つ目は、分からないことをその場で回答せず宿題にして、後日すぐに正しい回答を持って訪問する事です。知ったかぶりをすれば、いつかばれてしまい信用を失ってしまいます。この2つの事を徹底した結果、7月末にFCRの初受注を頂くことができました。
今の仕事は、東京薬科大学の研究室生活で培って来た経験が活かされていると日々実感しています。研究とはかけ離れた仕事をしているようですが、研究テーマを進める為に調べ事をしたり、進捗状況を先生に報告してアドバイスを頂くといったグループセミナーでの報告・連絡・相談はまさに今の仕事と変わりありません。入社して5ヶ月間、私がこの仕事に最もやりがいを感じた瞬間は、自らが提案した機器の構成を先生が承諾し、購入して下さり、機器の設置・稼働後に「レントゲン撮影が本当に楽になって良かった。買って良かったよ。」と言われた事です。今後は、少しでも多くの医師から頼られる「また来てくれよ」と言われるような営業マンに成長したいです。
◆今後就活をする東薬生へ
就活で内定を取ることがゴールではないと思います。会社に入って何がしたいのか、目標を明確にして就職活動をすれば必ず第1志望の会社から内定が出るはずです。就活の為に大学生活を過ごすのではなく、目の前の自分が夢中になれる事に全力を注いで下さい。全力で楽しんだもの勝ちです。(2014年9月掲載)

東薬で見出せた自分の姿
2013年 生命科学研究科博士前期課程修了 修士 (生物有機化学研究室)
セントラル硝子株式会社 化学研究所 機能性フッ素樹脂グループ

私は2013年に生命科学研究科修士課程を修了し、セントラル硝子株式会社に入社しました。入社後は数ヶ月の研修期間を経て、現在は化学研究所にて機能性フッ素樹脂の研究開発に携わっています。まだまだ修行中の身ではありますが、世の中にまだない新しい材料を生み出すことができるこの仕事にとてもやりがいを感じています。
昔を振り返ってみれば、私がこのような仕事をすることになるとは全く想像もしていませんでした。私が高校生の頃はろくに将来のビジョンもなく、やりたいことは?と言われても「うーん・・・」といった状態で、東京薬科大学に入学した理由も特に明確なものではありませんでした。しいて言えば、文系科目よりは理系科目の方が好きで、生命科学部ではいろいろな分野の学問が学べると思ったからということくらいで、あとはもう「この大学良さそう!」という直感みたいな部分が大きかった気がします(笑)

ただ実際に入学してみて、その直感も間違いではなかったと思っています。1年次から様々な学問領域を体系的に学ぶことで、生命科学という学問の奥深さを知ると同時に、視野を広げることができました。また、各分野で様々な実習が用意されており、実際に自分の目と手で生命現象を体験する機会を持つことができたことは、授業のさらなる理解のみならず、自分が今後やりたいことを見極めるという意味でもとても貴重な経験だったと思います。私の中で一番印象に残っているのは3年次の有機合成実習です。この実習で、いくつかの化合物をパズルのように組み合わせて、目的の化合物を作り上げるといった有機合成の楽しさに触れ、それがそのまま生物有機化学研究室に入るきっかけになりました。研究室では自然界に存在する化合物を人工的に合成する、いわゆる全合成の研究をしていました。その後、大学院でも全合成の研究を続けていくうちに、将来仕事としても研究に携わっていきたいという気持ちが強くなり、研究職として今の会社に就職することになりました。今の仕事は大学時代の研究内容とは直接関係はありませんが、研究に必要な考え方は分野が違っても基本的には一緒で、研究生活を通じて身に付けた問題解決能力や忍耐力は今の私の礎になっています。
受験生の皆さん、特に当時の私のように自分が本当にやりたいことがわからない人は、今進路のことで頭を悩ませている時期かと思います。ただ、その大学がどんな大学かなんて実際に入学してみないとわからないことも多く、むしろ入学してからどれだけ自分と向き合い、どれだけ必要な時に努力できるかということの方が大切だと思います。東京薬科大学にはその気持ちに答えてくれる先生方や設備環境が揃っています。ぜひ、緑に囲まれた自然豊かなキャンパスでゆっくりと自分がやりたいこと、夢中になれることを見つけていってください。数年後、きっと今では想像が付かないような新しい自分の姿が見つけられると思いますよ。

技術で飢餓のない世界を創る
2011年 生命科学研究科博士前期課程修了 修士 (環境衛生化学、現生命分析化学研究室)
クミアイ工業株式会社 製剤技術研究所 勤務

私は現在、農薬の研究開発に携わっています。農薬は健康を害する化学物質という認識を持たれている方が非常に多いかと思いますが、世界的な人口の爆発的増加によって逼迫する食糧事情を支えるためには欠かせない資材なのです。最近では、店頭やマスメディアなどでも減・無農薬、有機栽培が多く取り上げられていますが、生産物を商業ベースに乗せるためにはやはり必要なものだと考えています。一例として、リンゴや桃などの果物では農薬不使用による減収率がほぼ100%と、農薬の必要性が身に染みるデータもあります。

さて、農薬の研究開発と言っても、その仕事内容は、商品企画から登録、製造販売、生物試験などなど多岐に渡り、私は製剤技術に携わっております。農薬には様々な製剤(例えば、粉状のものだったり、液状のものだったり)が存在し、その一つ一つが農家さんの使いやすさを追求したものとなっています。農業従事者の高齢化が深刻な問題となっている昨今では、省力化製剤が農薬市場の基幹となってきており、製剤技術の腕の見せ所でもあります。既存の製剤をフォローアップする仕事から、新規の技術開発など非常にやりがいの多い仕事だと感じています。また、農薬の開発・販売をグローバルに展開している企業に従事することで、自分の仕事が多くの人々の幸福に寄与することにも誇りを感じています。
現在はこのような仕事に就いていますが、大学時代、大学院時代に農薬に関わった経験などありませんでしたし、就職活動でも、農薬業界を強く志望したわけでもありませんでした。ただ、就職活動や実際の業務に携わってみて、徐々にやりがいを見出すことができています。「将来〇〇がやりたい」と思えるものがある方は、その道に進む為の選択が早くできる分アドバンテージがありますが、特にない方も悲観することは無いと思います。東薬には微生物関係から生態、発生や分析など、様々な学問に触れることが出来、各々分野を探求するための設備も十分に整っています。授業や実習、研究室生活を通じて自身のやりたいこと、やりたい分野を見つけていってください。
メーカーの情報部門で働いています
YKK株式会社 佐藤 基 さん
2009年 3月 生命科学部分子生命科学科卒業
2011年 3月 生命科学研究科修士課程修了(生物情報科学研究室)
YKK株式会社 ファスニング事業本部 情報システム室 セキュリティ対策推進チーム 勤務

私は2011年よりYKK株式会社に入社しました。東薬の皆様にはあまり馴染みがない会社かと思いますが、世界70カ国に支社を持つグローバル企業です。弊社のファスニング事業におけるスライドファスナーは世界シェアの45%(国内シェアの90%)を占めます。
その中で私は情報システム部門に所属しており、主にネットワークやサーバーの管理を行っています。大変ですがとてもやりがいのある仕事です。毎日が充実しています。

生命科学研究科に在籍していた当時は、生物情報科学研究室でCYPの研究を行っていました。恩師の小島先生には研究を通して多くのことを教えていただきました。研究生活で培った力が私の財産となり、今の仕事に活かされていると実感しています。

エバリュエーターとして香りを設計・評価
2009年 生命科学研究科修士課程修了(生物有機化学研究室)
花王株式会社 香料開発研究所 第一研究室 勤務

――会社でどんなお仕事をされていますか?
田熊 私が配属された香料開発研究所には、 パフューマーとエバリュエーターという専門 職があります。 香料をブレンドして新しい香りを創るのがパフューマー、その香りの設計に合っているかどうかを評価するのが、 私たちエバリュエーターです。まだまだ勉強中ですが、一人前になれば、「この香りの特徴を強めて、 もっと華やかな感じにして欲しい」というような細かい指示も出せるようになります。
――エバリュエーターの候補に選ばれたということは適性があったのでしょうか?
田熊 香り開発の研修や調香の研修を半年間受けましたが、 その間に上司の方が見極めてくださったのだと思います。特に“鼻が利く”というわけでもないのですが(笑)。

――お仕事の面白さはどこにありますか?
田熊 新しいものを創り出すところでしょうか。その香りを気に入ってくださった方が、 それによって心地よくなったり、おだやかな気 持ちになったりしたら、とても素敵なことだと思うんです。
――独り立ちのエバリュエーターになるには何年くらいかかりますか?
田熊 10年くらいはかかるでしょうね。香りの素になる香料は1000種類ありますが、 まずは代表的な300種類を全てピンポイントで当てられるくらいにならないと一人前とはいえません。
――大学に東薬を選んだ理由は何でしたか?
田熊 もともと生物が好きで、ヒトや動物の身体の仕組み、メカニズムなどに興味がありました。 ただ、あまり早くから可能性を狭めることはないと思っていたので、物理や化学など幅広く勉強できる東薬を選びました。
――東薬で学んで良かったことは?
田熊 初めは遺伝子を研究したかったのですが、いろいろ実習などしているうち、 自分は有機化学に向いているのではないかと思うようになりました。遺伝子工学、生理学、薬理学など、 薬科大学だからこそ広く深く学べることが 多く 、そ れ が貴重だったと思っています。また、2年生から研究室へ行って 実験のできるシステムがあり、新たな興味を引き出すきっかけとなりました。これも東薬の良さですね。
――大学で学んだことがお仕事に活かされていますか?
田熊 花王は化学系の会社ですから、私と同じ有機合成を勉強してきた方が大勢います。 毎日の仕事に直接関係はないにしても、香料も有機化合物ですから、どこかでは結びついています。 また、大学院時代に研究室で培った研究への執着心・探究心・粘り強さなどは、これからも役に立つことでしょう。
――進学先で迷っている受験生にアドバイスをお願いします
田熊 適性というのは案外自分ではわからないものなので、時間をかけて探すことも良いかと思います。 幅広く学べる環境があり、新たな可能性が発見できるような学校や学部を選ぶのが良いのではないでしょうか。

東薬は目標を実現できる場所
2014年 生命科学研究科博士前期課程修了 修士 (分子細胞生物学研究室)
サイトサポート・インスティテュート株式会社 オペレーション統括本部 治験コーディネーター

私は2014年に博士前期課程を修了し、現在治験コーディネーターとして働いています。様々な病院やクリニックで、患者さんや医師、院内のスタッフさん達と接しながら治験業務を行うことは時に難しさも感じますが毎日やりがいに溢れています。

学部生時代の授業の中で、私が最も興味を抱いたのが分子細胞生物学でした。数多くのタンパク質が複雑に相互作用することで生命を維持していること、その仕組みを明らかにしたいと思い研究室を選びました。私は、タンパク質の分解に関与しているBap31というタンパク質の研究を行っていました。先輩や先生方に研究方針を立ててもらっていた時の方が結果は出ていたかもしれませんが、自分であれこれ考えて実践し失敗してまた考えるということを繰り返し 行っていた院生時代の方が断然研究が楽しかったです。院生時代に培った、主体性を持って考える力や相手へわかりやすく伝える力は就職活動の際にも糧となり、現在働く上でも大いに活かされています。
東薬では多くのことが学べます。それは授業の知識ももちろんですが、部活であったり行事であったり人それぞれかと思います。将来の目標を既に見つけている人、これから見つける人、どのような形や大きさにせよ自分の目標を持ち、それを友人や先生方と共に東薬で形にしていって頂けたらと思います。(2015年10月記)

生命科学部で学んだことを生かして、高品質なワクチンの安定供給を目指す
2013年 生命科学研究科博士前期課程修了 修士 (分子細胞生物学研究室)
北里第一三共ワクチン株式会社 生産本部

私は現在、北里第一三共ワクチン株式会社において生産本部に所属しており、インフルエンザワクチンの製造を行っています。インフルエンザワクチンは、鶏卵を用いてウイルスの培養を行い、濃縮、精製、濾過の計4工程を経て製品となります。私は現在、精製工程を担当していて、高品質、安定供給を目指して日夜仕事に励んでいます。

学部3年生から始めた特別演習とその後の卒論研究、大学院に渡り、私は分子細胞生物学研究室に所属していました。研究室では、Rer1というタンパク質に着目し、細胞内におけるタンパク質輸送の分子機構を研究しました。研究を通じて細胞培養や遺伝子操作、タンパク質精製などの専門的な技術の他にロジカルシンキングやプレゼンテーションなどアウトプット技能も学びました。研究生活で培ったこれらの経験は、社会に出て働く上での今の基盤となっています。
東京薬科大学の強みは、分野を限らず幅広く勉強が可能な環境です。多様なカリキュラムや実習を通じて様々な学問に触れる機会があり、自身の興味の幅を広げる事が出来ます。自然溢れるキャンパスでのびのびと自身の可能性を広げ自分だけの夢を見つけてください。(2014年11月掲載)

東薬とは、今の自分の土台
2014年 生命科学研究科博士前期課程修了 修士 (生物有機化学研究室)
テバ製薬株式会社 信頼性保証本部 高山工場品質統括部 高山品質システム部 品質コンプライアンス&マネジメント課

私は2014年に生命科学研究科修士課程を修了し、テバ製薬株式会社に入社しました。約2ヶ月の研修期間を経て、現在は高山工場にて品質保証の仕事に携わっています。品質保証の仕事は工場の門番のようなものです。工場で製造された製品を製造工程の記録や、品質試験のデータをもとに判定し、安全性が保証された製品のみを患者さんへと届けています。
私が現在所属しているグループは、製造の記録から、製造の手順書、社内の規則、従業員の健康記録まで、工場全体の文書の管理を行っています。毎日膨大な量の書類と向き合う生活ですが、その書類の一つ一つが製品の安全性を保証すること、つまり患者さんの安心につながるものなので、とてもやりがいを感じています。
東京薬科大学ではとても多くのことを学ぶことが出来ました。学問的なことでは、生物を中心に物理、化学と幅広い分野について学ぶことができ、多くの知識を得ると共に、一つの事象について様々な分野の視点から考えることの大切さについても学びました。学問以外で学部時代に学んだ大きなことは「人との繋がり方」だと思います。大学に入ると高校生の頃では考えられないほどの多くの人と関わることになりました。地元も違う、生い立ちも、考え方も年齢も違う人たちと、どう接し仲良くしていくのか、始めは戸惑うこともありましたが様々な人と関わっていくことでコミュニケーション能力を身につけ、自分の世界を広げられたと思います。私の場合、学校の知識を会社で役立てることは殆どないのですが、これは会社に入ってからも役に立っています。

大学院では生物有機化学研究室で天然物の全合成研究を行っていました。朝から晩まで実験実験の毎日で辛いこともありましたが、先生方や先輩方に温かく見守って頂き、同期や後輩達と励まし合いながら充実した研究室生活を送ることが出来ました。研究室生活では有機合成に関する知識、実験方法、データの読み方まとめ方など研究に必要な知識を詰め込んで頂きました。ここで得られた知識は何よりの財産ですが、研究室での生活は私自身を大きく成長させてくれました。「論理的に考えること」「効率的な時間の使い方」「わからないことは勝手にやらずに相談すること」「壁にぶつかったときの解決法の探し方」など、実験や学習を通して、社会にでて必要な多くのことを学ぶことが出来たと感じています。そしてなにより、多少のことではくじけない体力と精神力を得ることが出来ました。感謝しています。
学生は勉強するのが仕事なので、大学でしっかりと学ぶことは大切です。本気で勉強することで自分の興味のある分野がみつかり、自ずと将来の自分へと続いていくのだと思います。ですが、勉強だけに集中するのではなく、普段の生活を充実させて遊んでほしいです。東京薬科大学は全国各地から様々な人が集まっています。是非多くの人と話してください。自分の世界がどんどん広がっていきますよ。それは必ず皆さんにとってかけがえのないものになるはずです。(2014年11月掲載)

創り、造り、売る
2011年 生命科学研究科博士前期課程修了 修士 (分子神経科学研究室)
塩野義製薬株式会社

タイトルにあるフレーズは入社してすぐの新人研修のキーワードでした。薬になりそうな化合物を見出し、治験を行う、「創る」段階。医薬品と認められた化合物を多くの患者さんに届けるために製造する、「造る」段階。完成した医薬品を多くの患者さんに使っていただくために医師に売り込む、「売る」段階。非常に大まかではあるものの、概ねこの3つの段階を経て医薬品は世に送り出されます。新薬の場合、化合物が医薬品となって患者さんの手元に届くまでに最低でも10年程度の時間を要します。私が所属している部署が担当しているのは最も初期段階である「創る」段階です。現在、世の中で使用されている医薬品はまさに10年、15年、それ以上前の創り手(研究員)の活躍の賜物です。いま私が活躍できているかどうかは甚だ疑問ではありますが、もし携わった化合物が薬として世の中に出たときには、あのときに活躍したなぁ、と振り返ることができるかもしれません。点と点の繋がりは予測できない、あとで振り返って繋がりに気づくのだから、今やっていることがつながっていくと信じなさい、と某リンゴマークのカリスマも言っています。
薬を創る上で重要なことは安全でかつ、よく効くことです。私は現在、アルツハイマー病(AD)の新薬を研究するグループに所属していますので、よく効く薬とは「認知機能を改善する薬」と言い換えることができると思います。ADによって低下してしまった認知機能を、正常レベルに戻すというのが目標で、最低でも薬を服用し始めた時点での認知機能を維持することが求められています。
しかしながら、そもそも認知機能とは何なのか、それ自体が現代の科学ではまだまだ解明されていません。つまり、「この分子をこうしてやれば認知機能が改善する」とか「この遺伝子の発現が下がっているから認知機能が低下している」という明確な指標がありません。もちろん、マウスやラットを使った実験ではそういった分子や遺伝子の報告があり、それらをもとにAD創薬を進めていますが、それがヒトに適応可能なのか、AD病態と関連があるのか、そういった分子や遺伝子を単独で操作したところで薬効があるのか、などなど問題は山積みです。ちなみに、2002年から2012年の10年間でAD治療薬として開発した244化合物のうち承認されたものは1個だけ、成功確率0.4%というデータもあります。

問題が山積みだからと言って、止まっているわけにもいきませんので、日々、私たちは研究を進めています。広範なAD研究の中で私は、神経ネットワークの活動をいかにin vitroの系で評価するか、またヒトへの適用可能性をいかに評価するか、といった研究に携わっています。神経ネットワークの活動を評価する系の構築においては、学生時代の経験が役立っています。分子神経科学研究室では宮川教授のもと、ラットの海馬という部位の局所神経回路について研究を行っていました。会社での研究に、直接的に学生時代の研究成果が結びつくわけではありませんが、神経ネットワークの活動をどのように捉えていけばよいのかという概念・技術については大いに学生時代の経験が活かせています。
学生時代の研究と、現在の行っている研究ではテーマは様々な側面で異なるものの、個人的に大きな差はないように感じています。目的に対して仮説を立て、それを検証する実験を考案し、結果に対して考察を行う、という基本的な流れはサイエンス一般にあてはまることです。しかし、学生時代と現在で決定的に異なるのは、ひとつのテーマ(プロジェクト)に対して関わる人間の多さです。私個人が扱っているテーマも創薬の流れの中ではほんの一部であり、それ単体で完結するものではありません。誰しも欠かすことのできない研究テーマとその結果を統合してひとつの化合物に磨きをかけていきます。そういう意味では神経活動が生み出す情動や認知機能と似た部分もあるように感じます。
そして、研究職とは言え、最終的には人と人とのコミュニケーションが最重要業務であることを(私も最近)感じています。就職活動において、各企業があの手この手で学生の人間性を見極めようとするのも納得できます。しかし、会社には学歴も上で、人間性はさらに上の上、頭の回転10倍速、というような方々が大勢います(世の中にはもっともっと大勢)。私も進化しなくては淘汰されてしまうので、試行錯誤の毎日です。
まだまだ活躍にはほど遠い新人研究員の文章が、読んで下さった皆さんにどれほどお役に立てたかはわかりませんが、少しでも創薬というものに興味を持っていただき、生命科学をもっと勉強してみようと感じていただけたなら幸いです。(2014年10月掲載)

自分が立案した創薬研究で苦しんでいる患者さんの役に立ちたい
2003年 生命科学専攻修士課程修了 修士 (分子細胞生物学研究室)
旭化成ファーマ株式会社
創薬研究には、新規化合物を合成する部署や薬効薬理を評価する部署、安全性や動態を評価する部署など、多くの人びとが関わっています。その中で私は、薬効薬理試験を担当。新規化合物を酵素や細胞を用いてスクリーニングし、動物に投与して薬効を評価しています。
また、当社では若手も含めて誰でも創薬研究のテーマを立ち上げることができます。現在携わっている研究も約2年前に自ら立ち上げたテーマで、今では多くの人と一緒に仕事をしています。調査や検証実験も必要で大変な部分もありますが、結果に一喜一憂しながら仲間と議論することが喜びになっています。
大学時代に3年間所属した分子細胞生物学研究室では、「世界でも解明されていない新しいタンパク質の機能解析」という面白い課題に取り組み、研究の楽しさや難しさを肌で感じ、実験に没頭する日々を送りました。そのときの経験が現在の私につながっています。
私の夢は、自分が立案したテーマの化合物が臨床試験へと進み、最終的に苦しんでいる患者さんの治療に役立つようになること。研究の世界は日々刻々と変化し、時には他社や大学との共同研究が成功への近道になることもあります。研究レベルが高い東薬と、いつか一緒に研究ができればと期待しています。(2014年10月掲載)

将来の夢に向かって歩んだ6年間
2013年 生命科学研究科博士前期課程修了 修士 (分子生物化学研究室)
株式会社エシック 治験コーディネーター

高校時代は、小学1年生から続けている書道をさらに本格的に取り組みたいと思い、習い事の書道と書道部の2つの活動に取り組んでいました。高校での勉強は自分なりにまじめに取り組んでおり、理系クラスに進んだものの、自分は将来何がしたいんだろう?大学に進学するとしたら何学部がいいんだろう?と悩んでいました。周りは既に目標を定めて受験勉強に取り組んでおり、皆より出遅れている自分にとても焦っていたことを思い出します。
そんな時たまたまテレビで、プロジェリアという難病があることを知りました。プロジェリアとは、遺伝子の異常によって通常の10倍近い速度で年老いてしまう病気です。当時は病気の発症メカニズムが解明されはじめた段階で、根本的な治療法も見つかっていませんでした。その時、このような難病のメカニズムを解明し、新薬の開発に貢献したいとふと思ったのです。それがきっかけで、生命現象を分子レベルで体系的に学ぶことが出来る、東京薬科大学・生命科学部を受験することに決めました。

大学の授業で一番印象的だったのは、分子細胞生物学の授業です。ヒトの体内で起こっている現象を分子レベルで理解することにより、研究を行うための基礎を確立出来たと考えています。卒業研究は、1年次からアドバイザーとしてお世話になっていた先生の研究室である、分子生物化学研究室で行いました。研究テーマとしては、体長1mm程の線虫を用いて、ヒトにおいてパーキンソン病やアルツハイマー病に関与するとされるタンパクの機能を明らかにする研究に取り組みました。また、さらにこのタンパクがどのように機能しているのか、もっと深く知りたいと思い、大学院にも進学して研究を続けました。他の研究室メンバーが着実に結果を出している中、研究を思うようにうまく進められず、何度となく悔しい思いをしましたが、先生やメンバーの温かい支えのおかげで、諦めることなく修士過程をやりきることができました。
大学院生になっても、新薬の開発に貢献したいという高校からの希望は変わらず、就職活動では医薬品業界を志望しました。その中でも、様々な立場の人と仕事ができる治験コーディネーターという職を選択しました。治験コーディネーターとは、医師をはじめとする院内スタッフ、製薬会社、患者さんの間に立ち、新薬開発のために行う「治験」をスムーズに進めるために、調整を図る仕事です。病気や検査、薬に対する知識はもちろんのこと、異なる立場の人達との意思疎通ができることがとても大事な仕事であり、誰とでもすぐに打ち解けることが出来る私の長所を活かせていると感じています。現在入社2年目となり、新しい薬の治験を新たに始める際には、協力いただく院内スタッフの方々に治験の進め方等について発表する機会がありますが、これには研究室生活で培った、いかに分かりやすく伝えるかを突き詰めて考えた研究発表の経験がとても役に立っています。
生命科学部の卒業生は、製薬企業のみならず、食品・化学・化粧品・環境といった様々な分野で活躍しています。受験生の皆さんも、東京薬科大生命科学部で、自分の将来の可能性をさらに大きく広げてみませんか。(2014年9月掲載)

生命科学が生きるリハビリ職の今
2008年 生命科学部分子生命科学科卒業 (分子神経科学研究室)
医療社団法人 真療会 野田病院 リハビリテーションセンター

高校生の頃は、スーパーのアルバイトと一年生の時から大学受験の為に図書館通いをしていました。本当なら野球選手になりたかったのですが、身体機能的に恵まれていなかったので、高校の時に夢を諦めました。そこから、将来何をしようかと考えたときに以前から脳に興味があったので、脳の研究ができる大学に入ろうと思い、東京薬科大学生命科学部を受験しました。

大学の授業では、化学は苦手だったのですが、GABAの働きをはじめとした麻酔の話が興味深く、薬理学概論が一番印象的で一番試験勉強をしました。今思うと、その時から医療関係で働きたいと心の奥で思っていたのかもしれません。大学三年時より、将来は言語聴覚士になり、脳血管障害の方のリハビリを行いたいと思っておりました。そのような理由から、脳神経の研究室に入って少しでも脳の知識を増やし、将来に生かそうと思い、分子神経科学研究室を選びました。卒業研究では、ショウジョウバエの幼虫の色々な行動のパターンがどのように神経細胞によって選択、調節されているのか。その機構を調べるために、変異型huntingtin遺伝子が発現し運動性の変化した幼虫と野生型の幼虫との運動神経発火パターンの比較研究を行いました。この研究は論文に残すことができ、自分の名前が載っている論文を見たときは感慨深かったです。
現在は、病院で言語聴覚士として働いています。仕事内容としては、脳血管障害により、リハビリが必要な患者様に対して、言語訓練や飲み込みの訓練、脳トレなどを行っています。ただ単に、その方のリハビリを行うだけでなく、脳画像をみて、保たれている機能は何なのか、どこからアプローチしていけば良いかを判断してリハビリを行っていかなければなりません。また、食事をして肺炎になっていないか、腎臓や肝臓はしっかりと働いているか、血液内の酸塩基勾配は保たれているか、薬の影響で覚醒レベルが低下していないかなど、患者様の全体像(脳画像や血液データ、薬など)を把握する上で、神経生物学、生理学や薬理学で学んだことが非常に役に立っています。

東薬での研究経験をベースに新薬の候補となる化合物を合成
2006年 生命科学研究科博士課程修了(生物有機化学研究室)
あすか製薬株式会社 合成研究部 勤務

私の主な業務内容は、新薬のシーズ(医薬品候補化合物)となる新規化合物の合成です。疾病の原因となる生体分子に有効に作用する新規化合物をデザインし、他の部署で評価試験(薬効試験、毒性試験)を受けた後、問題点を改善した新たな化合物をデザインし、合成しています。

長い期間にわたって行われる新薬の研究開発では思い通りの結果が出ないことが多々ありますが、自らのアイデアと努力で問題を解決できたときには、なんともいえない達成感を得ることができますし、創薬研究を通じて社会に貢献しているのだということを実感させられます。
4年次から所属した研究室では、大学院の修士・博士課程も含めると6年間お世話になりました。その期間に修得した専門知識と技術、困難にぶつかってもあきらめず努力するという姿勢は現在の仕事に役立っていますし、学部時代にワンダーフォーゲル部で培った体力と忍耐力も、私の大きな財産となっています。
1年次から実施される学生実習や、少人数で教員と接する生命科学ゼミナール、充実したパソコン教育、そして緑に囲まれた落ち着きあるキャンパス。東薬の魅力を数え上げればきりがありません。

研究室で培った知識や経験を活かして仕事をしています
2013年 生命科学研究科博士前期課程修了 修士 (分子細胞生物学研究室)
一般財団法人 日本食品分析センター 大阪支所 微生物試験課

私は現在、日本食品分析センターの微生物試験課に所属しています。分析センターでは非常に多岐に渡ったものに対してさまざまな分析を行っていますが、私は微生物試験課で食品をはじめとしたさまざまなものに菌がいるか調べる仕事を行っています。
東薬では生物や化学について学習したこともあり、知識を仕事に活かすこともできましたが、それ以上に研究室生活で培うことができた「調べてまとめる能力」、「プレゼンテーション能力」を得られたことが大きかったと感じています。

私は東薬で学んだ「微生物」に関わる仕事に従事しているために知識や実験操作の経験を活かす機会がありますが、バックグラウンドの異なる仕事に就くことのほうが一般的だと思います。しかし、「調べてまとめる能力」、「プレゼンテーション能力」はどんな仕事でも必要とされる技術です。
東薬の良いところは研究のレベルが高く、そして学生を育てる環境が整っているところだと思います。先生や先輩が親身に指導してくれる風潮がありますし、先生や先輩の発表を見たり、実際に自分で発表を行ったりする場があるので経験を得られます。こういった職場では教えてもらえないような経験をしっかり積むことで仕事に役立てることができました。
在学中の皆さんも勉強や研究が辛くても、その経験や知識が将来役立つ日が来ますので頑張って乗り越えてください。(2015年10月記)

ラボラトリーオートメーションで活かされる学生時代の経験
2007年 大学院生命科学研究科修士課程修了 (環境衛生化学研究室、現生命分析化学研究室)
ジーエルサイエンス株式会社 勤務

私が勤めている会社は主に研究開発、製造工程分野、品質管理、環境分析関連などの広い分野における分析・試験・検査に用いられるクロマトグラフィーに関する商品を販売しております。私たちが生活する上でクロマトグラフィーによる成分の分析、解析は無くてはならないものとなっています。身近なところでは、我々が口にする食品の安全性を確保することに一役買っています。私はこのクロマトグラフィーと研究室時代に出会い、現在勤めている会社の商品を使用し研究をしていました。
学生時代に私は環境中でヒ素がどのような運命をたどるのかを明らかにする研究をしていました。ヒ素濃度の高い河川の生物を採取して、含まれるヒ素化合物がどのような形態なのかを調べ、実験室では培養した藻類やミジンコにヒ素を添加し化合物が経時的にどのように変化していくのかを観察しておりました。この研究を行うにあたり、研究室の垣根を越えて多くの方にご指導いただき、また実験する場所も与えていただきました。このような経験から私は生命科学部の研究室は垣根など無く様々な視点から自由に研究ができる素晴らしい環境だったと今でも思います。


卒業後、研究室時代に得たクロマトグラフィーの知識を活かせると考え、現在の会社に入社しましたが、私が配属になったのはハミルトンロボティクス社製の自動分注装置(興味がありましたらYoutube でhamilton microlabで検索してください)というクロマトグラフィーとは関係が無い、私にとって全く未知のものを取り扱う部署でした。自動分注装置は読んで字のごとく液を自動で分注する装置ですが、簡単に説明すると自動で実験やその準備を行ってくれるロボットです。このようにロボットに行わせることをラボラトリーオートメーションと呼びます。研究成果を出すためには非常に多くのデータが必要となり莫大なルーティンワークの時間が必要となります。ラボラトリーオートメーションはルーティンワークで割いていた時間を有効利用できる他、ヒューマンエラーによる実験ミスの排除、作業者のリスクを軽減等、様々なメリットがあります。そのため、今日では多くの研究所でラボラトリーオートメーションが当たり前のように行われています。


私の業務は研究者が行いたい操作をプログラミングしロボットに反映させることです。その操作は多岐にわたり、核酸抽出やPCRセットアップ、細胞培養、ELISA、クロマトグラフィーにおける試料の前処理等があります。さらに、同じ内容の操作でも研究者によって細かな違いがあり、その違いを理解しなければなりません。これらの要望に応える際に東京薬科大学で学んだことが活かされています。授業で得られた知識も役に立っていますが、特に研究室や学生実習で学んだ実験操作の原理や経験は研究者が望むロボットの動作に近付けるという点で非常に活かされています。
東京薬科大学の授業カリキュラムは学生実習を含め、幅広い分野の学問を網羅し、様々な知識や経験を得ることができます。社会に出ると学生生活と違い、展開がめまぐるしく動き、ついていけなくなりそうになります。その時に助けてくれるのが学生時代に学んだことです。私の恩師であります故 貝瀬利一教授は学生時代、日頃私に「学生時代に学んだことは必ず君の血となり骨となる」とおっしゃっていました。その当時は実感がありませんでしたが、今、私はそれを実感しております。


会社勤務の傍ら、客員研究員として東薬で研究をしています
2010年 大学院生命科学研究科修士課程修了(生命分析化学研究室)
株式会社住化分析センター 固体解析グループ 勤務
東京薬科大学 客員研究員(生命分析化学研究室)

私が所属している固体解析グループでは、おもに一般企業から依頼される分析業務を行っています。測定対象は多岐にわたり、分析方法もお客様のあらゆるニーズに可能な限り対応するため、先輩社員とともに分析計画を立てながらこなす毎日です。
とはいえ、測定対象が未知の試料であることも多いため、計画通りにいかず、何度も検討を繰り返すこともあります。それだけに、提出した結果をお客様に満足してもらえたときは、役に立てた喜びと達成感を覚えます。

また現在、同グループとは別に技術開発センターにも所属して、新しい分析技術の開発にも携わっています。その分析技術開発に関し、母校である東薬と共同研究契約を結んでおり、私は会社に勤務しながら客員研究員として大学で研究も行っています。東薬とはつくづくご縁があるなあとうれしく思っています。
東薬の大きな魅力は、学生と教員の距離が近く、ディスカッションしやすい環境です。他の研究室の先生にアドバイスをいただいたことも度々あり、おかげで私の研究生活はとても充実したものになりました。あの日々があったからこそ、自主性、考察力、粘り強い研究姿勢を培うことができ、今の私があります。東薬で出会った人々や過ごした時間は大きな財産となっています。

最適な空間で、夢中に
2014年 生命科学研究科博士前期課程修了 修士 (分子生物化学研究室)
オリエンタル技研工業株式会社 動物施設環境企画室

私が東薬を受験したきっかけは「生薬」の存在でした。思春期にニキビで悩んでいた頃に、皮膚科で治療をしつつ処方された生薬を2年間飲み続けました。なんとなく飲んでいた薬の正体が植物であることを知った時、植物の力とその可能性に興味を抱き、自分でも植物から医薬シーズを探索したいと思うようになりました。そこで、疾病を分子レベルで解明するプロセスや昔から興味のあった植物生理学・昆虫学が学べる東薬を受験しました。人混み嫌いの私には、緑豊かな環境も決め手の1つでした。
3年間の研究テーマは、糖尿病治療薬のシーズ探索と細胞レベルでの薬理作用の解明でした。研究では目の前の実験が思うように進まず、視野が狭くなりがちですが、一歩下がって研究の意義をきちんと理解することで方向性を見失わずに研究を遂行することができました。特に研究に携わった間に、考え方として「過去の情報を整理すること」「最新の情報を吸収すること」「仮説を立てること」「発信すること」が非常に重要であることを学びました。

現在は研究施設のエンジニアリングメーカーで働いています。施設の設計から製品の開発、導入、メンテナンス、改装工事までの一貫した体制が整っていることが強みの会社です。私は実験動物に関する業務を担当しており、主に動物飼育装置の性能検証や製品開発、動物飼育施設の改善コンサルティングに携わっています。研究施設は最先端の研究が行われる場ですので、将来性も含めてお客様の研究内容に合わせた最適な研究空間を提案することが必須です。日々勉強の毎日ですが、学生時代に身に付けた考え方が自分を助けてくれていることを実感しています。
東薬の生命科学部では幅広い分野を学ぶことができるので、今やりたいことが見つからなくて悩んでいる方でも、きっと夢中になれる分野に出会えるのではないでしょうか。
それでは、将来皆さんと一緒に仕事をする機会があることを楽しみにしています(2015年10月記)

東薬で培われた問題解決力が仕事に役立っています
2010年 3月 生命科学部分子生命科学科卒業 (生物有機化学研究室)
東京ガス株式会社エリア計画部 神奈川地域計画部地域計画グループ 勤務
私の配属されたエリア計画部は、いかに都市ガスの普及を効果的に進めるか、ということを日々検討しています。具体的には、お客様の希望に沿って都市ガスを供給するルートを提案したり、ガス工事の工程を管理したり、未普及地区への都市ガス普及策を立てるなどの業務をしています。
都市ガスを望んでいるお客様がどこにいるかを予測し、どのようにガス管を整備していけばいいのかといった議題は、正解があるわけではありません。長期的な視点に立ち、あらゆる角度から検討しなければならず、大きな責任を担います。それだけにやりがいがあり、お客様から「都市ガスを待っていた」と言われることが大きな励みとなっています。
東薬で学び、現在の仕事に役立っているのは問題解決力です。私は卒業研究として有機合成研究を行いましたが、実験を進める中でうまくいかないことも多々ありました。そのたびにどこが問題なのか、何が障害なのかを考える癖が身につきました。問題を起こしている根本的な要因を理解することができれば、解決策を導くことは容易になります。現在の業務においても、問題が発生したときには自らその原因を考え、解決策を模索することができているのは、東薬で学んだおかげだとしみじみ感じています。

社会で必要な力を得られる研究室だと感じています
2014年 生命科学部分子生命科学科卒業 (言語科学研究室)
株式会社ジェイティービー

言語科学研究室は、生命科学部に唯一の言語に焦点を当てて研究をする少人数制の研究室です。就職希望であった私は研究室を決めるにあたり、就活にも集中できる研究室を希望しており、また幼い時期から英語に触れていたことから、第二言語習得について知りたいということもありました。この二つの観点からこの研究室に入りました。
当時を振り返り研究室で大変だったことは、研究内容や方法など論文作成に関して全て、まず自分で考え自分で解決策を見つけるということでした。研究内容を具体的に決めることから、どのような方法で、という細かいことまで自分で決めなければなりません。また、グラフや表作成・論文の構成や表現方法などについても何度も厳しく指導されました。

しかしながらそのような中、楽しい思い出もあります。一番印象に残った思い出は、私の研究材料を収集するために研究室全員でフィールドワークに行ったことです。言語景観について研究していたので、各飲食店の看板やメニュー表を撮影しに行きましたが、まるで社会見学のようでした。このフィールドワークを通じて研究室としての一体感が生まれたような気がします。フィールドワークを含め各々の論文について全員で指摘するなど、お互いの協力があって卒業出来たと感じています。
私は、現在JTB首都圏に勤務をしています。主に店頭業務として国内外の旅行の受注をしています。お客様の視点で様々なことを考えることがとても重要な仕事ですが、研究室で得た「目の前の課題を自分で考え自分で解決する力」と「協力する大切さ」を念頭に置いて仕事をしています。新入社員として半年が経ちますが、未だに分からないこと、覚えなければならないことが多くあります。しかし、それを先輩社員から教えられるのをただ待っているだけでは成長しません。どの仕事でもそうですが、自分で積極的に課題を見つけ、それに対して自分で考え解決する姿勢を持って仕事に臨むこと、先輩社員とのチームワークが必要であることを実感しています。
卒業論文を完成させるまでは大変ですが、社会に出る上で必要なことを学ぶことも出来ます。皆で協力するということを忘れず、頑張ってください。そして勉強も大事ですが、時間にゆとりがあれば、様々な経験をしていただきたいと思います。(2014年10月掲載)

生物好きが高じて研究者の道へ
2006年 生命科学研究科博士課程終了
独立行政法人 理化学研究所
Q 今、どのような研究に取り組んでいますか?
村山 動物の脳の神経細胞の活動と心理状態との因果関係について研究しています。具体的には、生きたネズミの脳に電極などの記録装置を取りつけます。ネズミの心理状態は行動観察で推測し、その時の脳神経の活動を記録しています。
Q どんなところにやりがいを感じますか?
村山 世界でまだ誰もやれていない研究ができることに醍醐味を感じています。ネズミの行動中から脳神経活動を調べるというと、一見簡単そうに感じるかもしれませんが、とんでもありません。そもそも、今までは、我々が観たい神経活動を記録する方法がこの世界に存在しませんでした。そこで、まずその方法を考え、必要な装置を自分たちで開発することからスタートしました。前例がないだけに苦労しましたが、その分まだ誰も見たことのない結果を、誰よりも早く得ることができるわけですから、毎日がエキサイティングです。
Q 理化学研究所に入ったきっかけは?
村山 ここは日本の脳科学研究の拠点ともいわれる憧れの場所でした。それで大学院を卒業後、スイスに留学中に思い切って現在のチームリーダー職に応募したんです。約100倍の倍率だったそうなんですが、私の研究テーマと熱意が伝わったのか、運よく採用されることになりました。
Q 東京薬科大学(以下東薬)を選んだ理由は何ですか?
村山 私は高校時代にサッカーに夢中だったので、最初は体育大学を志望していましたが、次第に得意だった生物をきちんと勉強したいと思うようになったんです。それで生物学をさまざまな角度からアプローチできる東薬の生命科学部に行こうと決めました。
Q 東薬で学んでよかったと思う点は?
村山 ひと口に生物といっても、生命現象は物理化学の現象なので、物理や化学など他の知識もなければ追究することができません。その意味で東薬ではいろいろな分野を幅広く学んだことで、全体のレベルを底上げすることができました。また、魅力的な先生が多かったですね。3年生のときに神経生物学の授業で、先生から「脳はまだ解明されていないことの多いフロンティア」だと教わり、非常に興味を引かれた経験が、研究者という仕事を選ぶ原点となったような気がします。
Q 進路に迷っている受験生に向けてアドバイスをお願いします。
村山 幅広い知識が身につけられて、実習環境も充実した東薬なら、いろいろな可能性が見出せると思います。興味を持って勉強に取り組む中から、将来やりたいことが見えてくるのではないでしょうか。

人の成長を見届ける楽しさ
2010年3月 生命科学部 分子生命科学科卒(生命物理科学研究室)
高等学校教員 教員

私は現在、高等学校で教員をやっております。教員の仕事でまず思い浮かぶのは「授業」ですが、生徒と会話をする時間も大切です。それに加え、担任事務の処理、PTA活動、部活動、学会研修、入試研究など、やることは多岐にわたります。1日の労働時間が12時間を越え、土日の休みも余りないのが普通な世界です。肉体的にも精神的にもつらくなることは多いですが、すべての勉強、すべての仕事は生徒とつながっていて、『今やっていることは生徒のためになっているのだ』、そう考えるだけで仕事はやりがいのあるものになっています。生徒がかわいくてしょうがないのです。
東薬の生命では、理科教員になるための、とてもいい環境があると思います。東薬の生命では、生物、化学、物理、3科目すべてを学ぶことができます。それぞれの科目のつながり、いまの開発されている技術との関連など、ただ1分野で専門の勉強をするだけでは見えてこないことが学べ、それを生徒に話せることは、理科の教育で大きなアドバンテージになっています。生命物理科学研究室も、工学系の物理とは一味違う、化学の知識とつながる物理を知ることができる場所です。

また、論理的な話の仕方も東薬で学ぶことができたと思います。「○○だから□□となる」「○○は□だからよくないので、△△してそれを防ぐ」など『原因と結果』『理由と対策』などをしっかりと組み立て説得力のある話をする癖が、日々のレポートや実験の考察から身につきました。授業の展開はもちろん、生徒指導でも『説得力』は重要なキーワードの1つです。これができない人は意外に多いです。
今文章を読んでくれている人の中に、もしかしたら教員という道を考えている人がいるかもしれません。東薬の生命は、理科教員になるための環境としてとても魅力のあるところですが、生徒が好きで好きでしょうがない、という人しか続かない仕事です。勉強が好きだから、理科が好きだから、教えるのが好きだから、だけでは教員にはなれないのかなと思います。しかし、そんなことは、なってみないとわからないことです。進路選択は進んでみないとわからない、という面が多分にあると思います。迷いながらもじっくり考え、それでも答が出なかったらあれこれ考えずに、思い切って飛び込んでみて下さい。「決定」までの道は、人それぞれになると思いますが、悔いのない選択をしてほしいと思います。

何事にもチャレンジ
2010年3月 生命科学部 分子生命科学科卒(生命物理科学研究室)
山梨県職員(行政職)合格
山梨県教育委員会わかば支援学校主事

私は2010年4月に山梨県職員(行政職)に採用され、本庁長寿社会課で高齢者の生きがい対策等の業務を2年間行いました。今年4月からは知的な障害者児童が通うわかば支援学校で、奨励費や給与事務などの業務をしています。県庁の仕事は多岐に渡っている分、多くの経験を積み、様々な人と出会うことが出来ます。どの部署の仕事も、様々な角度から県民の生活を支え、質の高い県民サービスを提供していく一助になることに非常にやりがいを感じ、自分自身も日々刺激を受けています。

私は高校時代、漠然とバイオテクノロジーに興味がありました。幅広い分野から生命現象のメカニズムについて学べる点や、「就職に強い大学」と先生からの助言もあり、東薬の生命科学部を選びました。東薬では1年次から実習があり研究設備が充実していて、親身になってサポートしてくれる先生方など有意義な大学生活を送るための環境が整っています。中でも私は1年の生命科学ゼミナールで学んだ、生物の一見ランダムに見える動きを物理学の視点から解析することに興味を持ち、4年の時は生命物理科学研究室に所属しました。研究室で学んだ、突き詰めて考える思考力や、何事にもねばり強く努力する姿勢は、今でも役立っています。
学生時代、制度の中枢である行政の仕事に憧れ、公務員の行政事務職を志望しました。ゼミの課題や卒業研究、公務員試験の勉強と、図書館に缶詰の毎日でしたが、目指すべき目標に向かって流した汗は無駄ではなかったと心から実感しています。東薬で学んだ事は、分野は違っても活きています! 進路に迷っている方や就職活動をされる方は視野を広げて何事にもチャレンジして欲しいと思います。

大学での経験が力となっています
2014年 生命科学部 分子生命科学科卒(分子生物化学研究室)
三鷹市役所 市民部市民課戸籍記録係

私は、医学・薬学・理学など多方面から学べることがとても魅力的だと感じ、東京薬科大学へ入学を決めました。 生命科学部では学習面のサポートが非常に充実しており、1年次に受講できる基礎科目がその後の学習におおいに役立ちました。また、入学と同時にゼミナール配属の制度で全ての学生に担当アドバイザーがいてくれるなど、個々人への支援が手厚いと入学してすぐに実感したのを覚えています。
4年次に配属された分子生物化学研究室では、先生方の理解もあり、研究と就職活動の両方に集中して取り組めました。研究に目を向けながらの公務員試験の勉強は正直非常に大変でしたが、その経験が今となっては決して無駄な努力ではなかったと感じています。また、先生方には就職活動に関して多くのアドバイスを頂きました。特に論文発表や研究報告を行うセミナーは、順序立てて考える論理的思考やそれを言葉にして伝えるコミュニケーション力など、仕事を行う上で必要な力を身につけることが出来たと思います。

私は2014年度に三鷹市職員(事務職)として採用され、約1年半は公共下水道整備に関わる事務に携わりました。そして現在は、戸籍事務職員として主に窓口業務に携わっています。多様な職種で構成されている環境に魅力を感じていたこと、行政を通じて人の役に立つ仕事に携わりたいと思っていたことが、市役所職員を希望した大きな理由です。
まだまだ自分の不勉強を痛感する日々ですが、婚姻や出生など人の人生に深く関わる分野で仕事をできてきることにとてもやりがいを感じています。窓口に来られる市民の方の中にはさまざまな事情を抱えていたりと、イレギュラーな件も多く、悩むことや失敗も多々あります。しかし、そんなときは特に先輩職員と話し合うことで問題を解決し、次へ活かせられるように職場での情報交換も心掛けています。生命科学部とはまったく違う分野で働いてはいますが、大学で身に着けた問題解決力やコミュニケーション力が仕事の中で大きく役立っていると実感しています。
皆さんには、臆せず興味のあることに積極的にチャレンジして欲しいと思います。たとえ失敗しても、その経験こそがその後の成功へ繋がると信じて前に突き進んでください。失敗こそが、自分を成長させる大きなチャンスです。そして何より、人との関わりを大切にすることを忘れずに大学生活を存分に楽しんで、一生の思い出作りに励んでほしいと思います。(2015年10月記)

国立病院機構に就職して
2017年 生命科学部 生命医科学科卒(生命物理科学研究室)
独立行政法人 国立病院機構 事務職(総合職)

私は、2017年4月に独立行政法人国立病院機構の事務職(総合職)として採用され、現在は清瀬市にある国立病院機構東京病院に勤務しています。東京病院は結核療養所として開設され、結核治療や医学研究の中心的な役割を果たしていました。現在は総合病院として、呼吸器疾患を中心とした政策医療分野の機関施設となっています。100床持つ結核病床は日本最大規模の病床数を誇っています。また、東京都がん連携協力病院や地域災害拠点病院に指定されるなど、地域の拠点病院として先端の医療を提供しています。
病院の事務の仕事は、受付や算定を行う医事業務をする事を想像されると思いますが、その他にも、職員の給与を計算したり、財務管理をしたり、物品調達をおこなったりと多岐に渡る業務を行っています。国立病院機構として独特な点として、病院の運営方針や経営戦略の計画立案を行う経営企画室があり、経営改善に力をいれています。

この中でも、私は契約業務を行う部署に配属され、パソコンやプリンター、トナーなどの一般消耗品と呼ばれる物品類の購入契約などの業務を行っています。病棟や各部署から請求があったものを購入することが主な業務です。部署と相談しながら本当に必要な物品なのかを見極め、修理や調達を行っています。請求があったときには、なるべく現場に行くようにし、なぜその物品が必要なのか、どのようなものが必要なのかを自分の眼で確認することを心がけています。自分が現場の方や業者の方との間に入り、交渉していくことで、安く早く現場に渡す事が可能となり、早く現場に納入できた時に喜ばれることにやりがいを感じます。まだまだ不勉強なことが多く困難な事も多いですが、上司と相談しながら進めていくことで解決しています。
私は、幼少の頃の入退院や手術の経験から生命に興味を持ち、基礎から応用まで生命現象を幅広く学ぶことができる東薬の生命科学部生命医科学科に入学しました。大学に入ってからは、毎日が大変充実した日々でした。
学業面で特に印象的だったのは、3年次の生命医科学特講や生命医科学実習での東京医科大学に訪問しての解剖実習でした。生命医科学特講では、東京医科大学や本学で最先端の研究をされている先生のお話を伺うことできました。講義では触れられないような最新で専門的な内容を学ぶことができ、勉強のモチベーション向上に繋がりました。解剖実習では、教科書の図や言葉だけでは理解し得ない、繊細なヒトの身体について詳しく知ることができました。
4年次に配属された生命物理科学研究室では、東京医科大学病態生理学分野の林由起子先生との共同研究により、コンピューターシミュレーションを用いて分子動力学法による筋疾患関連タンパク質の研究を行っていました。私の代からのプロジェクトで困難な事もありましたが、素晴らしい先輩・先生のお陰で充実した研究室生活を過ごすことができました。
学業以外では、ハルモニア管弦楽団に所属しファゴットを演奏していました。年2回の本番や、東薬祭、地域交流の一環としてのアンサンブルコンサートを通して、学部や学年を超えた繋がりの中、協力し一つのものを創りあげる喜びを感じました。
東京薬科大学の生命科学部で学んだ事とは直接関係の無い環境で働いていますが、講義や実習・研究室で培った思考力や文章能力は活きていると思います。今後、自己研さんを積むことでより幅広く業務に携わり、機構全体の運営に携われる人材になっていきたいと思っています。

大学での学びと会社での実践
2017年 生命科学部 分子生命科学科卒(言語科学研究室)
丸紅ITソリューションズ株式会社 開発第一本部 開発二部 基幹システム二課 勤務

研究室の経験
今振り返ると、私はこの研究室で、社会人として自立するのに必要なことを自然と学べていたんだなと感じます。言語科学研究室は他の研究室とは異なり、テーマから全て自分で考えなければなりません。好きなことを卒論のテーマにすることができるのはとても楽しいですが、その分、どのように結論づけていくか、目的や方法を十分に練ることに苦労しました。

私は、英語を発音するときの舌の動きに注目し、日本人学習者が英語のミニマルペアの聞き取りができるかどうかを研究テーマにしました。実験に使うデータ収集の一環としてリスニングテストを作る過程では、ネイティブの方に協力をしていただき、100以上の単語を録音して、ミニマルペアを作成しました。グループで行う実験のように決められた時間に与えられた作業をするのと違い、いつまでに何をどのように進めるか、しっかり計画を立てる必要があり、思った以上に大変でした。でもそのおかげで問題提起から解決までの時間のやりくりや、限界まで自分で考える力が身についたと感じています。先生方は私たちが自ら考えることを大切になさっていたため、答えではなく、解決に向かうためのヒントを示して下さいました。そのヒントをうまく自分のものにできた時の喜びは大きかったです。週に一度行われるゼミで卒論進捗状況を仲間と共有した際には、自分にはない新たな意見や視点を得ることができ、違うテーマで研究している友人との意見交換も参考になることを実感しました。この経験は是非、仕事にも活かしていきたいと感じています。
今の仕事について
私は丸紅ITソリューションズ株式会社でシステムエンジニアをしています。部署は開発本部で、丸紅本社のシステム保守が主な仕事内容です。入社式後、4月は外部研修で社会人のマナーやプログラミングを勉強しました。5月からは現場に行き、マンツーマンで先輩からプログラミングを教わる毎日を送っています。間違いを恐れず、何事にも挑戦できる環境が私に合っていて、大変充実しています。大学時代に勉強していた生物系の勉強が直接活かせるわけではありませんが、実習で培った自分で試行錯誤しながら答えを導き出すという力はとても役に立っています。現在は、簡単なプログラムを組むことができるようになりましたが、その中でエラーを見つけて直すという過程が実験に似ていて、楽しいと感じます。自分の工夫でプログラムがきちんと動いた時には、実験がうまくいった時と同じ喜びがあります。東京薬科大学で生命科学を学んだという、他の人とは違う強みを活かし、幅広い案件に対応できるシステムエンジニアになりたいと感じています。そしていつの日か、プログラミングで生命科学に携わるという夢を実現したいと考えています。